
出産祝いはママへのご褒美に。夫が書いた依頼文を一行ずつ
執筆 鈴木 美咲 — Songive制作チームのソングライター
更新日 約8分で読めます贈る相手別
出産祝い ママへ ご褒美の歌は、赤ちゃんではなく妻の名前を歌う一曲です。ここでは夫から届いたひとつの依頼文を、私たちがどう読み、何を残し何を削ったかを公開します。
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出産祝い ママへ ご褒美の歌とは、生まれた赤ちゃんではなく、産んだ妻の名前を主役にした一曲です。つわり、里帰り、分娩室での時間、夜中の授乳、退院の朝。十月十日と出産当日を越えてきた本人へ向けて書きます。赤ちゃんは脇役として一度だけ登場します。これが、名前入りの赤ちゃんの歌とはまったく別の贈り物です。
出産祝い ママへ ご褒美の歌とは: 妻の名前と、妊娠から退院までの具体的な出来事をメロディに乗せた、夫から妻への一曲。主語はいつも妻です。産着やベビー用品が赤ちゃんに贈られるのに対し、この歌は母親になった本人に贈られます。
なぜ赤ちゃんではなく、妻へ贈るのか
出産祝いの空気は、ここ数年で赤ちゃんから母親へ移りました。私たちの机に届く依頼文でいちばん胸を打つのは、赤ちゃんのための歌ではなく、夫が妻のために書いたものです。
理由はたぶん単純です。出産を全部くぐり抜けたのは妻だからです。産着もスタイも赤ちゃんのものです。でも、つわりで食べられなかった朝も、夜中の三時に起きたのも、本人です。そこに「おつかれさま」と名前で呼びかける贈り物が、まだ足りていませんでした。
この歌は、名入りの赤ちゃんの出産祝いの歌とは役割が違います。あちらは赤ちゃんの名前が主役です。こちらは妻の名前が主役で、赤ちゃんは終盤に一度だけ顔を出します。
届いた依頼文を、そのまま読んでみる
ある夫から届いた依頼文を、ご本人の許可を得て一部だけ匿名で載せます。固有名詞と病院名は変えてあります。
妻の名前は結衣です。去年の秋に第一子が生まれました。妊娠初期のつわりがひどくて、二ヶ月くらいまともにご飯が食べられませんでした。里帰り出産で、半年近く実家に帰っていました。分娩には立ち会いました。退院の日、車で家に帰る途中、助手席でずっと寝ていました。とにかく、ありがとう、ありがとう、と伝えたいです。
短い文章です。でも、歌にするための材料はほとんど揃っています。私たちがこの中から何を拾い、何を置いたかを順に書きます。
つわりの二ヶ月を、どう扱ったか
「まともにご飯が食べられなかった」は、そのまま残しました。つわりは出産祝いの歌でいちばん忘れられがちな時期です。でも本人にとっては、いちばん孤独だった時間だったりします。
ここで私たちは、ご本人に一つ質問を返しました。「そのとき、唯一食べられたものは何でしたか」。返ってきた答えが、冷たいそうめんでした。だから歌の一番は、「そうめんだけ食べられた夏」から始まります。つわり、という言葉は一度も使っていません。
里帰り出産の半年を、どこに置いたか
里帰り出産は、夫にとって不在の半年です。妻は実家にいて、夫は週末だけ新幹線で会いに行く。この距離を、歌では隠しませんでした。
「君のいない部屋で待っていた」という一行を入れました。おつかれさま、は妻だけに向く言葉ではありません。離れて待っていた夫の時間も、この歌には入ります。それが二人の歌になります。
立ち会いの場面で、何を削ったか
依頼文には「ありがとう、ありがとう」と二度書かれていました。私たちは、歌の中のありがとうを一度に減らしました。
理由は単純です。全部の行に「ありがとう」を乗せると、どの行も平らになります。感謝は、具体的な場面があって初めて伝わります。だから分娩室の一行は、「ありがとう」ではなく「君の手が白くなるまで握っていた」にしました。言葉にしない感謝のほうが、本人には届きます。
退院の朝に、赤ちゃんを一度だけ出した
サビの最後に、赤ちゃんが初めて登場します。「助手席で眠る君と、後ろで眠る小さな人」。ここだけです。
赤ちゃんを脇役にしたのは意図です。この歌の主役は結衣さんで、最後まで結衣さんの名前が繰り返されます。赤ちゃんは、二人が越えてきたものの証として、退院の車に一度だけ乗ります。
あなたの依頼文には何を書けばいいか
依頼文は長くなくて構いません。私たちが依頼文の入力画面で見ているのは、量ではなく、場面の具体です。次の四つがあれば十分です。
- 妊娠中にいちばん大変だった時期。 「つわりがつらかった」ではなく、「朝の歯磨きで毎回えずいていた」「柔軟剤の匂いがだめになった」まで。具体的な一場面が、歌の一番になります。
- 里帰りや入院で離れていた期間。 離れていた日数や、週末だけ会いに行った記憶。この距離が、夫から妻への歌であることを支えます。会えなかった時間こそ書いてください。
- 本人が覚えていそうな、小さな不満。 入院中の病院の朝ごはんに文句を言っていた、など。この種の具体が、歌を本人だけのものにします。きれいな感謝より、こういう一行が本人を笑わせます。
- 退院か、家に初めて帰った日。 車の助手席、玄関のドア、最初に食べたもの。終わりの場面があると、歌がきちんと着地します。結衣さんの歌は退院の車で終わりました。
どの贈り物と、何が違うのか
出産後の妻へ贈れるものは、花やエステのチケット、ベビー用品、既製のアルバムなど、いくつもあります。それぞれ役割が違います。花は数日で枯れます。エステは本人の時間になりますが、言葉は残りません。ベビー用品は赤ちゃんのもので、母親へのものではありません。手書きの手紙は言葉が残りますが、節目に何度も聴き返すものではありません。歌は、妻の名前と、二人が越えてきた具体的な時間が、音になって残ります。下の表に、主役が誰かという一点だけで並べてみました。
| 贈り物 | 主役 | 言葉が残るか | 妻の名前が入るか |
|---|---|---|---|
| この歌(Songive) | 妻 | 残る | 入る |
| ベビー用品 | 赤ちゃん | なし | なし |
| エステのチケット | 妻 | なし | なし |
| 花束 | 妻 | 数日 | なし |
| 手書きの手紙 | 妻 | 残る | 書ける |
下の例の一曲は、別の家族のために作ったものですが、名前がメロディのどこに乗ると本人の歌になるか、聴けば分かります。結衣さんの歌も、この置き方で名前を入れました。
よくあるご質問
赤ちゃんの名前の歌と、どう違いますか。▾
主役が違います。赤ちゃんの名前の歌は赤ちゃんが主役で、その名前を繰り返します。ママへのご褒美の歌は妻が主役で、妻の名前を歌い、赤ちゃんは終盤に一度だけ登場します。
妻の出産がもう数ヶ月前でも、頼めますか。▾
はい、むしろ落ち着いてからのほうが向いています。退院直後は本人にゆっくり聴く時間がありません。お宮参りや百日祝い、最初の誕生日など、少し先の節目に合わせて贈る方も多いです。
依頼文に何を書けばいいか分かりません。▾
大変だった時期、離れていた期間、本人の小さな不満、退院の日の四つで十分です。きれいな感謝の言葉よりも、そうめんしか食べられなかった、といった一場面のほうが本人に届きます。短くて構いません。
歌詞を自分で確認してから仕上げられますか。▾
はい、まず歌詞が届きます。読んで、直したい箇所があれば伝えられます。入院中の朝ごはんの話を足したい、といった具体的な修正にも対応します。納得してから、仕上がった一曲を受け取れます。
できあがるまで、どのくらいかかりますか。▾
依頼文を書いてから短時間で手元に届きます。日本語以外の言語でも作れます。里帰り先の家族みんなで聴いたり、スマートフォンですぐ共有したりできる形で受け取れます。